iisago | |||||
撮影:松井真平 |
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◇date 2016/03 |
◇施工 小原建築/小原和也 |
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クレマチスの生産を行う温室を、生産の機能を残しながら休日などに直売やワークショップ、カフェなどとして利用できるように改修するプロジェクト。 岩手県花巻市東和町にある及川フラグリーンは、クレマチスを専門とする全国有数のナーセリーである。敷地内には大型の生産温室が立ち並ぶが、全国の店舗にクレマチスを卸すことがメインであり、一般のお客さんが直接ここを訪れることは稀であった。 クレマチスは古くから愛好家が多く、世界中で様々な品種が生み出されており、常緑のものや落葉のもの、一重や八重のものと形も性状も多様で、色も様々である。その多様さは一つの文化と呼んでもよい世界を築いているが、その世界への入り口を絶えず用意し、その在り方も常にアップグレードしていなければ、市場はいつしか萎みかねない。 そんな危機感を背景に、敷地を一般に開放する「クレマチス・ウィーク」というイベント(年一回)を数年間企画しながら、生産だけでなく、文化を生み出し発信することも同時に担う必要を確信し、滞在できる生産温室の在り方を模索し始めた。 敷地全体は、ランドスケープデザイナーでもある奥様を中心に数年かけて整備され、ただ敷地を巡るだけでも美しく、愉しい。その中に立ち並ぶ生産温室の一棟に手を入れ、普段はクレマチスの生産をしながらも、一般開放時には見学・滞在のセンターハウスになるような改修を行った。 地域産の杉やカラマツを使用し、既存温室のフレームを少し頼りながら複数棟の小屋を温室内に点在させている。エントランスやテラスの出入り口などの外部と接する小屋は、温室から飛び出させずに引っ込ませることによって防水工事や屋根工事を省略し、基礎は既成のコンクリート基礎を使用するなど、設備工事以外はほぼ大工工事だけで作れるように計画している。 エントランス、倉庫、事務所、トイレ、キッズスペース、テラスといった6棟の小さな小屋が温室内に点在し、その間にカフェやショップ、ワークショップスペースが生まれている。温室内全体が、クレマチスのモデルガーデンでもあり、ツル性のクレマチスをどう建物に絡ませればよいかという見本になることも意図されていて、各小屋やエリアを分ける木の柵に絡まるクレマチスが実に美しい。 建築そのものよりも、それをベースに形成されている環境全体が美しく、価値をもっている。そのような状態がとてもうれしい。 イーサゴ ナーセリー&ガーデン
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