幼稚園に隣接する既存建物を、0~2歳児向けの小規模保育室に改修するプロジェクト。
既存建物は、2010年の幼稚園の建て替え時に、職員室や園長室を預かり保育室に改修していた。既存の各室を職員室のペンキの塗装や、園長室の壁紙をはがしたラワン合板、休憩室の真壁仕上など、もともとの特徴を活かしつつ、界壁をぶち抜いてワンルームとし、様々なコーナーを持つひとつの教室にする案だった。
今回は、その改修を活かしつつ、南側に敷地形状をトレースした、いびつな平面の、エアボリュームの大きな教室を増築している。ここは2歳児の保育室だが、全員の集まれるホールとしても機能する。屋外には幼稚園の園庭と緩やかにつながりを持てるように縁側を張り出し、外壁部分は断熱を付加しつつ地域産の杉板(西川材)を張った。この外壁は北側に増築した守衛所のような理事長室にまで及び、既存の園庭に対して保育室という新たな活動の場が開かれたことを表明するファサードを形成している。南側に増築した教室の内装は、この外装を取り込み、やはり西川材で仕上げられている。
狭山ひかり幼稚園は開園から50年を迎えるが、長らく3歳児から5歳児の活動の場として運営されてきた。理事会や評議会、或いは職員の話し合いの場で、新たに保育室を開設することについては、異論も含め長く議論が交わされた。最終的には、共働き世帯やひとり親世帯など家庭の事情に関わらず、ひかり幼稚園に入園させたいと願う家庭の子供を受け入れることが社会環境の変化に対する責務ではないかということ、また0~2歳児の存在が、幼稚園の子供たちにとっても大きな学びの存在になるだろうということから、保育室の開設が決定した。本プロジェクトではそのような長い歴史をもつ既存の環境に新たな人たち(子供、先生、親を含む)が加わるにあたって、お互いが窮屈な思いをしないように、適切な距離感をもって接することのできる状況を重視し、ファサードや縁側、庭のデザインを行っている。
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