駒形製材所

◇date 2012/07-

◇所在 岩手県遠野市附馬牛

◇設計 アタカケンタロウ建築計画事務所

担当/安宅研太郎、北里暢彦

岩手県遠野市で馬付き住宅プロジェクトを展開しているクイーンズメドウ カントリーハウスは、少しずつ買ったり借りたりしながら、環境再生を行う敷地を広げていて、その中には60年代以降に植林された山林が多く含まれている。60年代以前の、馬がいてその堆肥で農業が営まれていた時代の土地利用(牧草地や畑地など)を参考にしながら、持続的な環境再生を続けている。

そんな作業の過程で出てくる丸太を使って今後の住宅や、農業用のハウス、堆肥エネルギー研究所、といった建物をつくっていこうということになり、まずは敷地内に製材所を構えようということになった。

製材所は、作業場や休憩室、木材の仮置き場が必要で、それらを合わせるとなかなかの大きさの建物になる。これを作るには含水率をきちんとコントロールした材木が必要になり、伐ったばかりの丸太では構造計算に乗らない。

そこで、はじめから全てをつくらず、まず伐ったばかりの含水率の高い(弱い)木材で、ほんとうに必要な部分だけ小さな小屋として建て、そこで製材された材を使って、自ら増築をしていくという、時間を含んだデザインへとシフトしていった。

小屋には、線路が貫通し、丸太を載せた台車が通り抜けると製材して出てくる。小屋の中には、製材をするための帯鋸と、馬付き住宅に水を供給する井戸が設置されている。

製材して乾燥させ、木工の作業場や、水をパックする加工場を増築し、馬付き住宅や農業用ハウスや堆肥小屋をつくり、と展開していく。物置程度の小さな建物だけれども、今後の馬付き住宅プロジェクトの展開を示唆する象徴的な一手となる。

敷地内で伐採から製材、建設まで行えるので、12mとか15mとかの超長物の材を扱えるようになり、設計に影響を与えるはずである。

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