南方熊楠研究所コンペ案

◇date

2003/08

◇site

和歌山県田辺市

設計/Na+

(安宅研太郎+中島貴光)

南方熊楠の遺した膨大な資料を保存し公開するための研究所のコンペ案。

保存の対象となる南方熊楠邸は彼の蒐集した熊野の植物や菌類等が植えられた小宇宙をなしている。新たに隣接して建つこの研究所はどうあってもこの熊楠邸の背景とならざるを得ない。またこの地域は旧武家屋敷の古い景観を保持しており街並みに対しての特別の配慮を要した。

提案は街並みの連続を保持する切妻型の外形を持ちながら、その片方の屋根を熊楠邸との境界線のGLまで葺き降ろして連続させることで、熊楠邸の小宇宙を補強するような背景を創出し、その世界を新しい施設にまで引き込むことである。

また建物は収蔵庫の仕様となるRC造と研究、閲覧スペースの仕様となるガラスに覆われた木造をストライプ状に配置し、RC造には邸に棲息する雑草を、木造部にはツタ類植物を繁茂させる。

ガラスに覆われた木造部分からは熊楠邸を取り巻く小宇宙を裏側から透かし見るような独自の視点を獲得している。ストライプ状の構成を串刺しとする動線は、絶えず熊楠邸や庭へと視線を誘導し、熊楠の世界観を研究所の環境として定着させるだろう。

外観パース
スタディモデル
断面:切妻型の外形が街並を連続させる
1F PLAN 2F PLAN
内観パース
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